Answer
カット石の表面に現れた模様がバラの花の様に見えたからです。
「インカ・ローズ Inca rose」という名前は、『ロードクロサイト Rhodochrosite(菱マンガン鉱)』の特定の模様に対して付けられた宝石名称です。
“インカの薔薇ばら”という意味を持って呼ばれたものですが、宝石としての歴史は浅いです。
第二次世界大戦が始まる直前、アルゼンチンの山奥でロードクロサイトの研磨に適した原石が発見されました。
そこは13世紀頃にインカ人が発見した場所で、彼らが銀や銅を採掘していた鉱山でした。
しかしスペイン人の侵略によりその機能を失い、やがては人々の脳裏から忘れ去られた場所でした。
鉱山ではロードクロサイトは厚い鉱層を形成しており「ロジンカ Rosinca」と呼ばれています。
“ピンクの縞”を意味した言葉です。
ロードクロサイトの名前は、ギリシア語の“バラの色”を意味する rhodokhros ロードクロス にちなんで命名されています。
“Inca rose インカの薔薇”とう呼称は、宝石用に磨かれた石の表面に現れた模様から命名されました。
密な層を形成した原石は、カボションにカットすると同心円状の模様を見せ、それが花の模様に見えました。
カタルカナという場所では美しい鍾乳石状の石が発見され、それをカットするとさらに見事な花柄の模様を表します。
縞模様の見えないロードクロサイトに対してこの名前を使うのは適切ではありません。
豆知識
ロードクロサイトは、カルサイト(方解石)のグループに属する鉱物の一つです。
このグループの鉱物には「カルサイト Calcite」「シデライト Siderite」「スミソナイト Smithsonite」が知られています。
それらは結晶系が同じなだけではなく、化学組成も物理特性もロードクロサイトに近く、この様な関係を【類質同像 isomorphism アイソモルフィズム】と呼んでいます。
類質同像の関係にある鉱物には、それぞれの間で様々な割合で混じり合う【混和こんわ】という性質があります。
ロードクロサイトの成分である“マンガン(Mn)”は“鉄(Fe)”と混じり易く、ある程度以上の量がロードクロサイトの結晶に置き換わると『シデライト(FeCO₃)』となります。
置き換わらないままでもかなり鉄分に富むロードクロサイトというものも存在していますので、鑑別の際に測定データに複雑さをもたらし、その名前を付けるのに苦慮する事も珍しい事ではありません。
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