Answer
基本的には同じものですが透明感に違いが見られます。
スギライト・カルセドニーはクォーツと混在しているので、美しさに於いては、スギライトよりも魅力的です。
スギライトは日本原産の鉱物です。
1944年に愛媛県の岩城島(いわきじま)で発見され、その鉱物を研究した村上允英(むらかみのぶひで)氏らが、師である九州大学の杉健一(すぎけんいち)教授に因んで『杉石すぎいし』と名付けました。
それは今では宝石関係者の誰もが知る紫色の石ではなく、エジリン閃長岩せんちょうがん Aegirine syenite サイエナイト の中に含まれている数mm程度の淡い黄褐色の結晶でした。
その36年後、南アフリカはカラハリ砂漠の中にあるウィーセルという場所のマンガン鉱山から濃い紫色のスギライトが発見されました。
正確には『マンガン・スギライト Mangano-sugilite』という宝石クラスの変種で、層状に形成されたマンガン鉱石の中に“トン”という単位で形成されています。
スギライトもスギライト・カルセドニーも同じものです。
ウィーセル鉱山では、黒色の「ブラウン鉱 Braunite ブラウナイト」や「水マンガン鉱 Manganite マンガナイト」の間に、スギライトが層を成してバンド状に挟まって発見されています。
他の複数の鉱物も共生していて、部分的にカルセドニーが染み込んでいるものもあります。
混じりけのないスギライトは研磨しても光沢が弱く、マットな色のイメージがあります。
しかしそこにカルセドニーが鉱染すると、研磨した時の光沢が著しく向上します。
これはクリソコーラとジェム・シリカの関係に例えてみれば分かり易いかもしれません。
ウィーセル鉱山では染み込んだカルセドニーの成分が、スギライトの美しさを最大に引き立てています。
豆知識
この鉱物が日本で杉健一と久綱正典(くつなまさのり)によって最初に発見された時は「ユーディアライト Eudialyte石ユーディアルせき」の一種と考えられて発表されました。
その後『イワキライト Iwakilite(岩城石いわきせき)』と呼ばれて「オースミライト Osumilite(大隅石おおすみいし) – ミラライト(ミラー石いし)」系の鉱物と推定されました。
それがまったくの新しい鉱物として認定されたのは1976年の事でした。
村上充英らの研究によるものでしたが、ウィーセル鉱山のスギライトも同様の回り道をした事で知られています。
最初は、中央アジアのタジキスタンで1968年に発見された『ソグディアナイト Sogdianaite(ソグド石せき)』に外観が似ているところから、当時の西ドイツのH.バンク博士によりソグディアナイトとして宝石市場に紹介されました。
ソグディアナイトはオースミライト(大隅石おおすみいし)・グループの鉱物です。
しかし、成分中にジルコニウム(Zr)を含んでいない事からソグディアナイトとは化学組成が合わず、アメリカのスミソニアン博物館のJ.ダン博士の研究によりスギライトのマンガンを含む変種である事が判明しました。
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