⑤複数の【ストロベリー・クォーツ】が売られています。どれが【本物】ですか?

Answer

本来は1つのものに対して付けられた名前です。

宝石には流通名と鑑別名が一致しないものがあり、その中にはイメージだけでどんどん広がってしまう名前があるのが現状です。

鑑別ではほとんどの場合、国際的に承認された鉱物名称を使って表記しますが、ストロベリー・クォーツは流通名に属します。

流通名とは宝石の産地やそれに係る業者の間で使われている愛称的な名称のことです。

ストロベリー・クォーツは一種のイメージ・ネームで、この名前で呼ばれる水晶が初めて発見されたのは1960年初頭のメキシコでした。

ごく淡い紫味を帯びたピンクの水晶の中に「ゲーサイトGoethite(針鉄鉱)」の赤い糸状の結晶が密集していて、それが光を反射して苺の繊毛を連想させました。

しかしその産出量はごく少量で、まもなく市場からその姿を消してしまいます。

長い間幻の宝石となっていたのですが、2004年になり今度はカザフスタンで同じような水晶が発見されます。

やはり糸状のゲーサイトが密集していますが、こちらの石ではレピドクロサイトも見られます。

全体の色はオレンジ色がかっていて、この名前が生まれた時のイメージとは大きく違っていましたが、それでもゲーサイトがインクルージョンとして含まれている点は同じでした。

その後立て続けに数種の石がストロベリー・クォーツと呼ばれて市場に現れてくるようになります。

ピンク色のマイカ(雲母)が入っているもの、マンガンを含むエピドートを含んでいるもの等、そのどれもがクォーツという成分を母体としているというだけで、最初のものとはなんら共通点のないものでした。

これはピンクという部分だけに解釈の基準がずれ、ストロベリーという部分の名前借りで、この名前が生まれた原点が忘れられている事を証明しています。

豆知識

“ストロベリー・クォーツはアメシストになれなかった”と言えば分かりやすいかと思います。

成長する水晶中に含まれていた鉄分が、紫の色にならずにゲーサイトとして結晶してしまったものです。

最初に発見されたメキシコの石は、生地がほんのりと紫味を帯びています。

水晶の結晶構造中に入り込んでアメシストの色になるはずの鉄分が、ゲーサイトとして形成された事を物語っています。

かなり特殊な環境での成長です。

カザフスタンの石は「レピドクロサイトLepidochrocite(鱗鉄鉱)」が混ざっていますが、紫味がなく鉱床のタイプは異なるようです。

的を得た名前を付けられながら、双方は共に絶産状態の為、“名前借り”がおこりました。

しかしそのどれ1つをとってみても、名称の根拠となったインクルージョンが存在していません

『チェリー・クォーツ』『ピンク・エピドート』、さらには『チェリー・エピドート』そして『ストロベリー・マイカ』等という名前が付けられて、次々とマーケットに登場してきました。

多くの単結晶の鉱物ではなく、クォーツァイトQuartzite(珪岩)やクォーツ・シストQuartz schist(石英片岩

という岩石を母体としています。

宝石の名称付けというものは語源を重視することがいかに大切かがわかります。

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