Answer
レース・アゲートは、縞メノウの中の特別な模様のものを呼んだ名前です。
かつて京都の益富寿之助(ますとみかずのすけ)博士は『クレージー・レース・アゲート Crazy lace agate』を、日本語で「熱狂の飾りひも」と文芸的に呼んで、“いかなる名匠もこの天技の精緻には脱帽する”と評しました。
アゲート(メノウ)は、カルセドニーの亜種で縞目を表すものを呼ぶ名前です。
その縞目が鮮明で美しい場合には、特別に強調して『縞メノウ Banded agate』と呼ぶ事がありますが、アゲートと縞メノウを呼び分ける明確な定義はありません。
しかしレース・アゲートと縞メノウとの間には、それを分ける基準があります。
レース・アゲートと呼ばれている石の縞模様をよく見ると、スムーズな線ではなく細かく縮れているのがわかります。
レース・アゲートという名前は、レース編みの様な縞模様を持っているアゲートに特定して付けられています。
その代表的なものはメキシコから産し、『メキシカン・レース・アゲート』の愛称で呼ばれる事があります。
その模様を見ていると、益富博士がこの石を評した意味がよくわかります。
豆知識
レース・アゲートはアゲートの中の模様の特別なタイプです。
その特殊な縞模様は、珪酸を含む溶液が閉じ込められた岩石中の空間が特殊な環境にあって、空間の内部が次々と変化していった事を物語っています。
岩石の空洞に閉じ込められた珪酸溶液は、温度の低下に伴い次第にコロイド化しますが、その際に、大きな凹みの縁に無数の核が生じて、小さな凹みに生じた核とのバランスが崩れ、そこから複雑な同心渦が形成されたと考えられています。
随所に発生した核の影響で空洞内部の圧力のバランスも偏って、この様な複雑な模様を生みました。
レース・アゲートはメノウ中の白眉です。
縞メノウは世界中で広く産出されますが、レース・アゲートと呼べる石の産地は数か所しかありません。
もっとも有名なメキシカン・レース・アゲートは、白をバックに、赤や黄色、オレンジ色の小丸縞が千千(ちぢ)に乱れて繰り返し、正に“飾りひも”です。
これが天然に形成されたものとは俄かに信じられません。
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