⑪【誕生石】の種類は誰が決めたのですか？

Answer

アメリカやイギリスの宝石業者が20世紀(1912年)に色や象徴の故事を元に選定した、と言われています。

誕生石(バースストーン birthstone)は、生まれた月の宝石を身に着けると幸運がおとずれると信じられています。

今では多くの方が知っている事ですが、その楽しみ方が日本に入ってきたのは大正時代の中頃以降の事です。

それ以前の日本にはその様な慣習はありませんでした。

これは一種の宗教観に基づいたもので、宗教の異なる日本で最初は取り入れられなかったことは仕方のないことかもしれません。

しかしその後、日本文化の西洋化や宝石商の努力等もあって、今日では何の違和感もなく自分の誕生石を言えるまでに知られました。

長い宝石の歴史の中で誕生石と思しきものを初めて着用したのは、18世紀頃にポーランドに移住してきたユダヤの人々です。

その慣習を知見したイギリスの宝石商達はそこに占星術の信仰を加えて、“特定の石を身に着けると病気や不幸を回避でき、幸運を招く”として広めたのです。

その宝石の使い方には2通りのものがあります。

その人の誕生月に当たる石を身に着ける場合と、1人が12種類の宝石を月替えで着ける場合です。

日本で知られている使い方は前者です。

誕生石の種類は国によって多少の違いがあり、その国に由縁のある宝石を組み合わせて構成されています。

合成石だけの組み合わせもあり【ホープの誕生石】と呼ばれています。

その名前はイギリスの富豪で宝石の収集家でもある銀行家ヘンリー・トーマス・ホープに因んだものです。

豆知識

西欧の宝石業者が、最初に何を基準として宝石の種類を選出したかには諸説があります。

宝石種を選出するのにモデルとしたと考えられるものが、紀元1世紀のユダヤの歴史家ジョセファスの記録の中に見られます。

旧約聖書の出エジプト記の中に、「ブレストプレート Breastplate(胸飾り)」と呼ばれるものが登場します。

ユダヤ教の高僧が儀式の際に着用した胸飾りの事ですが、そこには黄道12宮をイメージした12種類の宝石が嵌め込まれていました。

それを基準として現在の各月の宝石が決められたと言われています。

もう1つのモデルも存在します。

新約聖書の中のヨハネの黙示録の中の次の文言です。

“新しいエルサレムの町の東西南北に12の門があり、それぞれの柱の基石の下に種類の異なる宝石が埋められている”

その他にもイスラエルの12の部族を象徴した宝石や、12の天使を象徴する宝石があり、それを元にして誕生石は決められた、という変説もあります。

真相究明は西洋の宝飾文化の研究家の方たちに期待したいと思います。