⑯【べっ甲】と【タイマイ】の呼び方の違いは何ですか?

Answer

特定の亀の甲羅を宝飾用の素材として呼ぶものと、生物学上の名前でその亀を呼んだ場合の違いです。

タイマイ亀から剥がされた個々の甲羅をべっ甲と呼んでいます。

同じものを2通りの名前で呼ぶのはなんとも不思議です。

『べっ甲 Tortoise shell』は特別な亀の甲羅を呼ぶ名前、そして『タイマイ Hawksbill turtle(学名はEretmochelys imbricata エレトモセリス インブリケータ)』はその特別な亀自体を生物学上での名称で呼ぶものです。

つまりタイマイから甲羅を剥がすとべっ甲と呼ばれるわけです。

そのべっ甲と呼ばれる甲羅を持つのは、海亀の中のタイマイという1つの種類です。

数種が知られている海亀の中で、一種類の亀だけが特別なものとして取り上げられたのはその甲羅の美しさからです。

その甲羅の美しさは西洋に於いて初めて見出されましたが、やがて中国人もその魅力に気付いて装飾品として使う様になります。

さて、『べっ甲』を漢字で書くと鼈甲となりますが、その中の鼈という文字は“スッポン”と読みます。

当然日本人もその美しさに魅了されましたが、この亀は日本周辺の海には生息していません。

日本人は室町時代以降になって輸入品で初めてその美しさを目にします。

魅了された日本人は海外からの輸入品を競って手に入れましたが、しかし元禄時代になると幕府から贅沢品禁止令が発せられ、輸入も禁止されてしまいます。

タイマイ亀の甲羅で作った装飾品を扱っていた商人が、役人の咎めに際して、とっさに“これはスッポンの甲羅で、タイマイの甲羅ではありません”と言い逃れたといわれています。

それからタイマイ亀の甲羅をべっ甲と呼ぶ様になったといわれています。

豆知識

特別な美しさを持つタイマイ亀の甲羅は、洋の東西を問わず人々を魅了してきました。

ヨーロッパではその利用の歴史は数千年前にまで遡り、エジプト王朝から後のギリシア、ローマ王朝へとその嗜好は引き継がれました。

後には東方の中国にも伝えられ、そこから間接的に日本にも伝えられましたが、南蛮貿易という直接ルートでも、ヨーロッパから日本の長崎へ伝えられました。

タイマイ亀は、主に、東南アジア、南太平洋諸島、西インド諸島、カリブ海、中央アフリカに棲息しており、べっ甲業界ではそれらの甲羅を大きく2つの名前で分類しています。

中国からきたものは南京の商人が太平洋に棲息しているタイマイ亀の甲羅を持ち込んだ事に因み『南京甲なんきんこう』、ヨーロッパからきたものはオランダ人がカリブ海のタイマイ亀の甲羅を持ち込んだ事に因んで『異人甲いじんこう』と呼んでいます。

特に後者は、その甲羅を舶載した南蛮船がタイを経由して来た事から『シャム甲』とも呼び、その種の亀が西インド諸島にも棲息しているところから『キューバ甲』とも呼ばれています。

タイマイ亀の甲羅の主成分は角質かくしつと呼ばれる「β-ケラチン(keratin)」で、加熱して軟化させたり、数枚を重ね合わせて一体化させる事ができます。

中国経由や南蛮船で伝えられてきたその加工法を独自に向上させて、技術を最高位にまで引き上げ美しい装飾素材として作り上げたのは実は日本人なのです。

その装飾素材には独自の名前が付けられていて、黄色と黒の斑状模様のものを『茨班甲ばらふこう(茨布甲)』と呼びます。

黄色一色のものを『白甲しろこう』という特殊な名前で呼びますが、これはヨーロッパでは『ブロンド・トータス・シェル』と呼んで珍重しています。

その白甲がオレンジ色がかって見えると特別に『赤甲あかこう』と呼び分け、茨班甲の黒い部分を重ねて作ったものを『黒甲くろこう』と呼びます。

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